Legends of NEW ORLEANS & BLUES

2013年 12月

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隻眼の天才ジャンキーピアニスト

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いまニューオリンズでは、N.O.ピアノ界きっての技巧派と称されたJames Booker(1939 - 1983)の生涯を追ったドキュメンタリー映画が評判になっているようです。その名も『Bayou Maharajah(バイユー・マハラジャ)』。あらゆるプレイスタイルを弾きこなす天才と称されるも、アルコールや麻薬の中毒を患い早世した彼を敬する者は多く、トリビュートアルバム「Patchwork: A Tribute to James Booker」が制作され、Dr.Johnの著書『フードゥー・ムーンの下で』では何度もその名が挙げらています。このドキュメンタリーではIrma Thomas、Harry Connick, Jr、Allen Toussaint といったミュージシャンへのインタビューやレア画像も満載のようです。是非邦訳化してほしいけど……うーん、ないだろうなあ。

TEXT : Soul Union

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感情がむき出し過ぎる男

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楽器なんぞは、感情を表現してナンボ。表題のような弾き方がいけないわけではない。しかし、それも限度があり、ご紹介するアルバートコリンズというギタリストの様に「LIVE終了後に残った弦2本」なんてのは、他にいない。7~12フレットカポ!状態で、チョーキングという、大リーグボール養成ギブス的苦行から出される音も、彼の魅力の1つで、そのパキパキサウンドにやられた人は数多い。でも、そんな過酷な状況下で演奏をするもんだから、顔つきも凶悪(人柄は良いらしい)シールドの長さも桁外れで、数十メートル引きずって、観客席に流れこんだり、時にはトイレに入ったり、のワン&オンリーおやじ。永遠に万歳です。

TEXT : ちー旦

2013年 11月

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ヒーローはやっていた

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ニューオリンズは今も昔も音楽の街で、最高なミュージシャンたちが集う場所ですが、実は犯罪も多く必ずしも治安が良い土地とはいえません。そんななか、子どもたちを周囲の非行から救い、この街に不可欠なマーチングバンドという音楽教育を通して才能を育成しようというプログラムがあります。それが“The Roots of Music”という非営利団体で、創設者のDerrick Tabbはなんと ! 2012年にグラミー賞を獲得した街のヒーロー、Rebirth Brass Bandのスネアドラマーなんです。参加は無料で、学校が終わった放課後(スクールバスまであるらしい ! )に、演奏の基礎技術からバンドに参加できるようになるまで、100名以上を指導しているという。こんなナイスな集団の活動が、将来ビッグネームが誕生するための一役を買っているんでしょうね。

TEXT : Soul Union

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ピアノのようにギターを弾く男

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「最も研究しがいのあるブルースマン」といえば!この方、ブラインドブレイクを紹介します。活動期間6年ぽっち、残存写真1枚ポッキリ(3ピース、棒タイ、脚組み、ギター抱え、仏像顔)録音80曲ちょい、など魅力がワンサカですが、なんと言っても他に類を見ない、90年経った現在もそれを超える者が多分居ない、「神」親指腹弾き極太ベースライン+シンコペリズム+跳ね回りメロ+歌という、まさに技の幕の内状態なソロパフォーマンス。神親指を聴きたいなら♪West Coast Bluesを、歌と跳ねメロの絶妙バランスなら♪Bad Feelin' Bluesを聴いてみてください。誰かの的を得た表現「ブラインド・ブレイクは偉大なプレイヤーなだけでなく、偉大な音楽家だ。」ジミヘンの様に更なる音源発掘を願ってやみません。

TEXT : ちー旦

2013年 10月

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三丁目のジャズフェスティバル

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ニューオリンズ・ジャズの愛好家にとって 秋の風物詩 といえば「新宿トラッドジャズフェスティバル」。「戦後の日本でジャズが流行し、そのなかで最高のジャズ人生を送ってきたリスナーや仲間たちが、最後まで ジャズを楽しめる場所をつくろう として、フェスティバルを思いついた」 と語るのは主催者の永谷正嗣さん。自身も会場となる新宿三丁目で居酒屋「呑者家」を経営するサックスプレーヤーである。末広通り・要通り両商店街の 街おこしにまでつながったこのフェスティバル 、いまでは新宿二丁目・三丁目の居酒屋やライブハウスをはじめとした約20店と特設ステージが演奏会場となり、出演者はプロからアマチュア、学生まで300人以上が集まる。運営は出演者や各店の常連客によるボランティアが行うこのお祭り、2013年の開催は11月16日(土)、17日(日)ですよ。

http://www.jazz-nagaya.com/

TEXT : The Soul Union

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再発見されるブルースマン その音楽は幽玄!?不気味??

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読者の皆さん、こんにちは。今回は「音楽的に変わってた」方面の代表でSKIP JAMESを。30年代に活躍→隠遁→60年代再発見→69年死去、という デルタブルースマン 。 位置的に言うと、かのロバートジョンソンに影響を与えてます。さりげないが、これは凄い。変わり方は、チューニングがオープンマイナーで、開放で鳴らすと、「短調」で、これじゃ通常マイナーブルースしかできませんが、3弦1フレットをほぼ常時押さえながら、ベースライン、旋律、コードを鳴らすもんだから、メジャーとマイナーの絶妙な往来の結果+裏声!のシナジー効果にて 「幽玄」 、人によっては 「不気味」 な世界観が多くのファン、フォロアーを産みました。

TEXT : ちー旦

2013年 09月

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Mardi Gras Indians’

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ニューオリンズ代表する曲、アイコ・アイコ(IKO IKO)。 Dr. JohnやWild Magnoliasが歌うことでも知られる耳馴染みの名曲ですが、「IKO」や「Jock O Mo」、「Unday」といった 奇妙な言葉 が出てくるのをご存知でしょうか。じつはこれ、ニューオリンズにいるマルディグラ・インディアンという団体(部族)の 野次や愚弄の言葉からつくられている歌 だとか。彼らはかつて抑圧されていた黒人たちが、ネイティブアメリカンと交流するなかで誕生した団体で、マルディ・グラの日にお互いに力を誇示するために コスチュームや歌、踊りで主張し合うという伝統 があり、それが多くのニューオリンズのミュージシャンとその音楽に影響をあたえ続けてきた、というわけです。現在でも現地へ行くと黒人地区でのパレードやジャズフェスティバルで彼らに会うことができます。と、ここまで語っても肝心の歌詞の意味はやっぱりわかっておりませんけどね。

TEXT : The Soul Union

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演奏中はコミカルな顔でプレイする <br>
ジーニアス!続・ゲイト。

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読者の皆さん、こんにちは。今回から本題に入る訳ですが まずは、Clarence "Gatemouth" Brownを。日本では特に 人気 ありますね、「ゲイト」と前半のみで呼ばれる事が多いです。異能王Fザッパもたいそう影響を受けたと言う位ですから、異論はないでしょう。「自分をブルースマンで括るような扱いをすると 怒り出す 」「工夫、進歩のないブルースをだらだらやる事に 批判的 」など難儀なイメージありますが 実は、音楽への関わり方に 確固たるポリシー があり、そこは絶対譲らないという 「志」の高い 音楽家なんですね。幅広いジャンルを横断し、多種の楽器を操り.. .怒れる巨人 、憧れの爺さんです。(続く)

TEXT : ちー旦

2013年 08月

Legends of NEW ORLEANS & BLUES VOL.3

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百寿のジャズ・ミュージシャン

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前回は名物オヤジ、アンクル・ライオネル(Lionel Batiste)について書きましたが、実はもう一人、ニューオリンズには ライオネル という名の有名ミュージシャンがいます。それがライオネル・ファーボス(Lionel Charles Ferbos)、御年 102歳現役トランペッター であります。フランク・シナトラやビッグ・ジョー・ターナーと同い年の1911年生まれですね。ジャズやブルースのミュージシャンというと、 たいがい早世や悲惨な最期というイメージをもたれがちですが、その真逆でまさかの百寿オーバーの リビング・レジェンド 。今ではトランペットを手にすることはめったにないようですが、 現在でもステージに立ち 歌も歌っているようです。また現地で元気な彼のステージを聴きに行きたいと思うこの頃であります。

TEXT : Soul Union

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人気ものは怒れる巨人
幅広いジャンルで
多種の楽器を操るゲイト。

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読者の皆さん、こんにちは。先月に引き続き、ジーニアス!Clarence "Gatemouth" Brownのお話を。僕も僭越ながら、ギターを多少嗜んでおり、会社に行く前に朝練したり、時々ライブやセッションで弾いたりしておりますが、ゲイトの何が変わってるって、そりゃ性格でも、音楽性でも、顔面でもなく、 「ギターの弾き方」 なんであります、弦をはじく方ね。親指だけで弾く人は、ブルースには割といますが、 ゲイトは「人差し指+中指」で弾きます。 ベースの弾き方とも違う。でもって 顔がアレ なもんだから、見た目も、音も両方エグく、バランス取れてる。弾いてるときはイイ顔のおやじで根本敬の漫画に出したい位。

TEXT : ちー旦

2013年 07月

Legends of NEW ORLEANS & BLUES VOL.3

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老いてなお
腰を振り続けた
好々爺

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 この地球上にはどこに行っても「◯◯の名物オヤジ」という 異名 を持つ人物が存在がします。よく行く居酒屋でただただ飲んで酔っ払っている名物オヤジや、趣味を極める名物オヤジなど、まさにこの世は名物オヤジで溢れているとも言っていいでしょう。しかしいずれにしても共通するのは、どの名物オヤジもそれぞれの場所(コミュニティ)とキャラクターが結びついた、若者には醸し出すことのできない味わいを持った、そこそこ 愛される べき存在であることには変わりはないのではないでしょうか。まーたあんなこと言ってるよ、なんて周囲からは呆れられたとしても、何故か気を止めずにはおけない人物。そして音楽のあるところには名物オヤジあり、と言っても過言ではありません。それは音楽の都、アメリカ合衆国南部のニューオリンズにももちろんいます。いや、正式にはいましたと言うべきでしょう。それがアンクル・ライオネル(本名:Lionel Batiste、1931-2012)です。
 一見すると痩せてサングラスをかけた黒人のお爺さんです。けれど、ひとたび バスドラムを持つと、 アクセントがはっきりした強いビートを叩き出します。それもそのはず、彼はトレメ・ブラスバンドのバスドラマー兼サブリーダー、そしてヴォーカリストでしたから。老いてなお、若い娘を追いかけては腰を振っていたエロオヤジぶりを発揮。指にはギャングを思わせる ギラギラとした指輪 をいくつもはめ、手にはスティック、頭にハットの出で立ちで毎晩ライブハウスを渡り歩くお洒落でかなりエッチなお爺さん。私がニューオリンズを訪れた際には、前年日本に訪れた際に買ったものであろう、コンビニのサンドイッチの成分表示シールを自分のベース・ドラムに貼っているというハイセンスは他の追随を許しませんでした。
 また、ライブハウスに行くと彼は必ずそこにいました。ダンスをリクエストすると酔拳を思わすほどのゆったりとした動きから突然、腰をクイックイッと卑猥に動かし華麗なステップを繰り出します。彼ほどこの街の雰囲気に溶け込み、見かけるたびに嬉しくなるオヤジはなかなかいないでしょう。まさにベスト・オブ・名物オヤジです。
 そんな彼は去年81歳で亡くなりました。街中が彼の死をいたみ、メディアもこぞってそれを報道しました。葬儀では何故か棺に入れられることなくポールに身を寄せて立たされ、ニューオリンズらしく演奏とダンスで見送られるという驚愕の最期。きっと天国でも女の子を追いかけて、陽気に歌ってダンスをする名物オヤジっぷりを発揮していることでしょう。

TEXT : Soul Union

blues

類を見ない
変人充足率の高さを誇る
ブルースシーン

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 R&BS読者の皆さん、はじめまして。私、ちー旦(ちーだん)と申します。
 R&BSにも掲載されているお店と潜伏確変的に開催している(わけでもない)お店の計4店でセッションリーダーをさせて頂いたり、ちょこちょこ歌とギターを弾いてLIVEしたり、DJしたりしております。

 この原稿を依頼したN嬢からは、「ちー旦さん、ちー旦さん、初回のテーマは<変わったブルースの人>でおねがいしたいんですよ、ほらブルース界って、 変な人多いで しょ。例えば指が6本あるとか..」って、コラー! 若干違う。
 さまざまなジャンルの中でも、類を見ない変人充足率の高さを誇るブルースシーンですからして、そんなこたァ、たやすいたやすい。
 しかも、プロ界、セミプロ界、アマ界、どの階層を覗いても十分に期待に応えてくれる人材の宝庫であります。今回は、いきなり誰も知らないアマ界から攻めても、読後のリピーター率に影響しますから、やはりプロフェッショナルシーンからのご紹介でいきましょう。
 ちなみに「ブルース 変人」又は「奇人」でWEB検索をかけると、誰が上位にランクされるかやってみたところ、「スクリーンジェイホーキンス」 「ジェリーロールモートン」 と変人界大御所「ゲイトマウスブラウン」あたりがブイブイ言わせているようだ。これを 「ブルース 変態」 に一文字変えると、アラ不思議「スヌークスイーグリン」がTOPに(横にもLIVE告知出てますね)「ギター 変態」にすると「Fザッパ」「Sヴァイ」に抜かれます。これをさらに「変態」だけにすると.....ってもう切りがないんで、今回は文字数の都合でここまで!
 次月は「ブルースの変わった人-02-」てことで、ゲイト、パットン、モートン、ジェイホーキンスあたりから、エピソードを紹介しよう。

 

TEXT : ちー旦